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22. 許可前に国籍離脱が必要なケース

多くの国の方は、法務局で帰化申請をし、日本で帰化の許可が下りると自動的に母国の国籍を喪失するという定めになっています。

 

ところが、中には当然には母国の国籍が喪失しない国もあるのです。その国によって法律は様々ですが、二重国籍を認めている国などであれば、他国の国籍を取得したところで自動的には母国の国籍は喪失しませんので、日本国籍を取得した場合は二重国籍となります。そういった国籍の方は、自ら国籍離脱の手続きをする必要があります。

 

日本は二重国籍を認めておりませんので、帰化申請をした方が二重国籍にならないよう、法務局側から帰化の許可を出す前に申請者に「国籍の離脱手続きをしてください」という連絡がなされます。

 

連絡を受けましたら、法務局から送付されてくる日本国籍が取得できる予定であることを記した文書と離脱申請書、その他必要書類を持って、日本にある各国の大使館にご本人が直接出向き離脱手続きを行います。

 

この離脱申請は、大使館から母国のしかるべき部署に書類等が送付され、本国にて承認手続きがなされるため、離脱に数か月かかるのが一般的です。

離脱の承認が下りた後、本国で離脱証明書が発行されご本人に送られてきます。(国籍によってはご本人が大使館に証明書を取りに行かないといけない場合もあります。)

 

ちなみに、帰化許可前に国籍の離脱手続きが要請される代表的な国/地域としては、ロシア、ベトナム、香港、台湾などです。

早い国/地域では3か月程度、長い国/地域ですと離脱承認に1~2年もかかることもありますので、その分、他の国籍の方と比べて帰化の許可が下りるのに時間を要するということになります。

 

なお、香港の方の場合は、香港とイギリス政府が発行した英国海外市民(BNO = British National Overseas)旅券をお持ちの方が多いため、そういった方は2つの市民権の放棄手続きをすることになります。

もちろん、香港だけでなく、もし仮に現状2つ以上の国籍をお持ちの方であれば、香港の方同様に、日本国籍が付与される前に全ての国籍を離脱する必要が生じるケースもございます。

 

※国によっては他国の国籍を取得した後でなければ自国の国籍を離脱できないと法律に定められている場合もありますので、その場合は日本国籍取得後に離脱手続きを行うことになります。

そのため、国籍法第5条第2項には『法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五項に掲げる条件を備えていないときでも、帰化を許可することができる』とされています。

つまり、本人が自国の国籍を離脱したくともできない場合は、二重国籍であるものの(帰化要件を満たさなくても)帰化の許可が受けられるという例外的な規定が置かれています。

 

ここで一つ疑問が沸いてくると思います。

自国の国籍離脱が完了し、まだ日本国籍をもらっていない期間の国籍はどうなるのかということです。残念ながら、実質的にこの期間は「無国籍」となります。

 

無国籍ということは、どこの国にも所属していないということです。その間に何か法的な問題が生じた場合はどうなるのでしょうか?

 

ご安心ください。この無国籍の期間は本当に短い期間になります。

法務局の担当官からも言われますが「日本のほうで帰化の許可を出すことを前提として母国の国籍離脱を要請しますので、母国の国籍離脱が完了した後は速やかに日本国籍を付与しますので、法務局を信じてください」と。

 

弊所でもこれまで多くの上記国籍離脱のケースを経験して参りましたが、国籍離脱手続きが完了した後、法務局から約1か月程度で許可の連絡を頂いております。

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