11. 家族同時申請の利点

家族全員が外国籍で、家族全員が同時に帰化した場合メリットはあるのでしょうか？

たとえば、旦那様がインド人で、奥様もインド人、20歳未満のお子様が1人いるケースを例に考えてみましょう。

旦那様は日本の企業で働いているので、技術・人文知識・国際業務の在留資格を持っているとします。そして、奥様とお子様は家族滞在の在留資格だとします。

この場合、もちろん3人とも帰化要件を満たしている必要があるのですが、メインの収入は旦那様が稼いでいるため、基本的には旦那様が帰化要件を満たしている必要があることになります。

永住申請と違って年収要件はありませんが、だいたい手取りで月額18万円くらいもらっていて、その収入で家族をきちんと養えていれば大丈夫です。

会社員の方であれば、税金や厚生年金の支払いは給与天引きなので滞納の心配はないケースがほとんどです。ただ、たまに会社員であっても、5人未満の個人経営の事務所や一部のサービス業にお勤めの方は、会社自体が年金の強制加入ではないため、そこで働いている従業員が厚生年金に加入していないケースもあります。

では、こういった年金料の支払いをしていない方は帰化の要件を満たさないとして帰化申請できないのでしょうか？

答えとしては、まずは最低でも直近1年間の分をさかのぼって支払ってください。もちろん理想は過去5年間まで遡って支払うことが理想ですが、かなりの金額になると思いますので、最低でも過去1年分支払ってください。

上記の例の、インド人の旦那様が要件を満たしているのであれば、あとは奥様とお子さんが満たしているかどうかを判断します。

生計要件は、旦那様の収入で家族全員を養っているケースであれば、旦那様が生計要件を満たしていれば奥様も要件を満たしているとみなされます。

奥様の要件で気をつけないといけないのが、素行要件と日本語能力要件です。家族滞在ビザで日本にいる方は、原則働いてお金を稼ぐことは禁止されています。就労ビザではないからです。ただ、資格外活動許可というのを別で取った場合は週28時間までパートとかアルバイトで働くことが可能となります。

きちんと何時間働いたかを自分で管理していないケースがあり、家族全員で帰化申請する際に、家族全員の収入も申告するのですが、もちろん源泉徴収票とか納税証明書をつけるので、申告よりも給与所得が多かったり、住民税の納税額が多かったりするとそこで法務局の審査官から指摘が入ります。ですから、資格外活動をもらって働いている奥様は注意が必要です。

その他、日本語能力は注意が必要です。

旦那様は就労ビザで働いていると日本語が堪能だったりしますが、家族滞在で付いてきた奥様は日本語があまり話せないケースがあります。

帰化申請の際には日本語能力のテストもあります。これは申請者ごとに別々に行われます。

テストのレベルはそこまで高くないです。小学校3～4年程度、日本語能力試験（JLPT）だとN3～N4くらいです。

帰化申請をお考えの奥様は申請後、3～4か月したら面接で呼び出されるのですが、それまでの間に日本語能力を磨くようにしましょう。

そして、お子様ですが、帰化要件には「20歳以上である」というものがありますが、家族で帰化申請する場合は、この要件は除外されます。また、15歳未満である場合は日本語テストも免除されます。ですから、20歳以上になって単独で帰化するよりもメリットは大きいと思います。

そもそも、帰化申請の際は、旦那様1人だけ申請することも可能なのですが、その際でも奥様やお子様、その他同居の親族、ご両親の公的書類、例えば国籍証明書や、戸籍がある国の方は戸籍謄本なども提出が求められます。そして、家族にも審査が入ります。

ですから、せっかく家族の公的書類を全て提出するのであれば、家族全員で帰化申請したほうが審査官にとってもメリットはあります。

旦那様1人だけ先に帰化する場合でも家族全員の公的書類を提出し、さらにその後、奥様が帰化申請したいと思った場合は、再度、旦那様やお子様の公的書類を新たに取り直して提出する必要があるからです。

ということで、家族全員で同時に帰化申請すること自体、書類の提出や審査が1回で済むというメリットがあり、また、それにより家族全員が帰化できたなら、今後はビザの更新の必要もないですし、奥様も就労の制限がなくなるので、週28時間のバイトとか気にせずどんな職業にでも就くことができますのでメリットは大きいです。

ただ、1点、例えば、旦那様は日本に帰化したいという思いが強くとも、奥様がインドの国籍を捨てたくないというケースもあります。

国籍離脱の話はセンシティブな内容となりますので、いくら家族全員で日本に帰化申請したほうがメリットが大きくとも、将来のことに関わってくる大事なことですので、家族全員が納得して帰化申請できるよう、まずは家族全員で話し合って決めて頂きたいと思います。

帰化をお考えの方は、どんな悩みでも結構ですので、当事務所にご相談いただければ、初回60分無料で対応させて頂きます。